私は和菓子屋の娘として生まれてきて、当たり前のように和菓子に触れて育ってきました。そして、当たり前のように家業を手伝うことになりました。
そして、たくさんの方々に接してみると、世の中の和菓子に対するイメージが｢あんこが苦手･･･｣｢和菓子って高級なイメージであんまり食べない｣｢ケーキは食べるけど和菓子って意外と食べないな･･･｣など、私にとっては寂しいお声がたくさんあることを感じ、何でそんな風に感じる方がおられるのだろうと考えることが多くなりました。

それは父(先代の社長)も同じ思いで｢季節を感じたり、香り･風味を楽しむという嗜好品としてのお菓子本来の意味がどこかにいってしまった…。小豆の香りがしないあんこのおいしくない和菓子が世の中に溢れてしまって、あんこはおいしくない。と小さな子供たちが和菓子を食べなくなっている。｣と父がいつも嘆いていました。
そしてまたこんなことも「なんでもそうやけど普段おいしくないものを食べていたら、おいしいものなんて解らなへん。だから、おいしいものを小さなころから食べないとあかんねん。おいしいものに出会ってやっと、おいしくないものが解るんや！一度でもいいからおいしいあんこのおいしい和菓子を食べてみてほしい!!｣と口癖のように言っていました。

｢和菓子って、こんなおいしいものやったんや!」と一人でも多くの方に感じてもらいたい。そう願って、父の想いを受け継ぎ、現在和菓子屋を営んでおります。
そして、日本の伝統である和菓子の世界を私と同世代の方々や小さなお子様にも身近に気軽に楽しんでいただけるようなお菓子作り･お店作りを行っていくよう日々努力してまいります。
今後とも｢餡焚き屋中井」をどうかよろしくお願いいたします。

店主　中井千隼